〜5つの定性的な世界〜
「日本型経営」の進化と
「次世代リーダー」の要件
(株)リクルート
川原信
エグゼクティブプロデューサー
イギリスでの交渉
元全日本空輸(株)取締役
 
 
 
 

リクルート 川原信宏「日本型経営」の進化と「次世代リーダー」の要件


堀田佳男(ほった よしお) 1957年東京生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、ワシントンDCにあるアメリカン大学大学院国際関係課程修了。永住権取得後、1990年に会社を辞して独立。以来、ジャーナリストとしてワシントンで政治、経済、社会問題など幅広い分野で精力的に執筆活動を行っている。
日本では『AERA』『Agora』『SAPIO』『週刊文春』『週刊現代』『夕刊フジ』などに、記事を執筆。在米22年。



聞き手 プレスプラン木村浩一郎 
 
 
  木村:今回、『大統領のつくりかた』では大変お世話になりました。ありがとうございました。堀田さんのように、長年、ご自分の足と目を頼りに米国で大統領選を取材している日本人はほとんどいないと思うのですが、まず、書き手としての、そのあたりのスタンスについて教えて下さい。  
 
 
堀田:近年、インターネットの普及によりさまざまな情報や記事が世界中で検索できるようになりました。その情報を、さも自分で取材したような顔で書いている書き手を「インターネット小僧」と呼んでいます。月並みな表現になりますが、他人のフンドシで相撲をとっている印象が強いです。その彼らに、自分で得たオリジナル情報を提示したいというのが、あの本の動機のひとつでした。わたしの書き手としての基本理念もそこにあります。

自分で見聞きしてはじめて取材といえるのではないでしょうか。ワシントンを中心に取材活動をするなかで、記者会見にも出席しますが、そのものを記事にするのではなく、そこから一歩踏み込んで、自分らしい原稿を書くようにこころがけています。
 
 
 
  木村:この『大統領のつくりかた』の最終原稿が上がったのは、たしか昨年、2004年の8月で、そして9月に刊行になり、11月にブッシュが再選になりました。しかし、堀田さんは、2003年の段階でブッシュ再選濃厚を打ち出していて、2004年10月の時点でも「再選がますます高まった」と言われていましたね。僕としては、堀田さんが、イラク問題や同姓婚、北朝鮮といった様々なメディアで露出していた争点ではない部分、すなわち経済や党内の対抗馬、支持率などで選挙を予測することにためらいもあったんですけど…  
 
 
 
堀田:選挙の争点を論じることはたいへん重要で、私は予想と同時に争点を解説したり自分の意見を述べたりしていました。ただ、現職大統領が勝つか負けるかという話になると、最終的には経済が最も重要なファクターであることが歴史の教えるところです。さらに党内がどれだけその候補を推しているも大きな判断基準になります。

わたしも最初はこうしたわずかな指標だけを頼りに正確な予想はできないと思っていたのですが、何人もの政治学者がつくった予想モデルをみると、経済状況と党内の統一、支持率を指標にしただけで何十年も当選者を言い当てている現実があり、注目せざるを得なくなったのです。昨年の選挙でもそれは見事に機能していて、「やはり」という印象を強くしました。

ですから秋に行われた討論会の主張が選挙を左右するといった話は、ほとんどあたらないのです。事実、過去4回の選挙をみても、討論会が終わったあとの支持率は始まる前とほとんど変わっていません。歴史はかなりいろいろなことを教えてくれます。
 
 
 
  木村:日本では、選挙直前にもケリー優勢の報道があったり、ケリー支持の声もかなり頻繁に伝えられました。堀田さんは、ご自分はブッシュ支持ではないとしながらも、ブッシュ再選を予測するという、それは、わりと難しい立場でだったのではないですか? まわりの反応というはどんなものだったのでしょうか?  
 
 
 
堀田:心情的にはブッシュに負けてほしかったですが、冷静にどちらが勝つかという点を眺めると、ケリーの勝てる要素は少なかった。最終的な票差は350万票でしたが、わたしはもっと差がつくと思っていたほどです。

ニューイングランド地方(米国東北部)出身の政治家では勝てないといわれて久しく、ケリーは改めてそれを証明したことになりました。日本では多くの方がケリーを支持し、勝ってほしいという願望から「ケリーが勝つ」と予想していました。わたしが「ブッシュ再選濃厚」と明言すると、ンー?という顔をする。でも、自信は揺らぎませんでしたから何とも思っていませんでした。
 
 
 
  木村:大統領選といえば、マイケルムーアの『華氏911』がカンヌ映画祭で受賞し、6月には全米公開されました。ディズニーが配給を禁止したり、ムーアが遺族に未公開フィルムを贈ったり、いろいろ話題になりました。堀田さんは、この映画をどのように観られましたか?  
 
 
堀田:わたしは反ブッシュの立場にいるのですが、実はマイケル・ムーアのスタンスには賛同していないのです。あの映画はブッシュの個人攻撃が主眼の映画で、リベラル派からの評判はよかったですが、感情的になり過ぎていて本質的なブッシュ反撃につながっていない。観ているときに、ムーアの対極にいる超保守のラッシュ・リンボーという男を思い出しました。ムーアを糾弾している男ですが、彼もいつも極論を口にして注目を集めますが、逆にリベラル派からは総スカンを食っている。米国のメインストリームは二人の意見にはほとんど耳をかしていません。

ですから映画が上映されてもブッシュの支持率は下がらなかった。ワシントンでずっと選挙キャンペーンを追い、ブッシュ政権をみてきた者にとっては、あの映画の内容は第1期のブッシュ政権を映像で復習しているようなもので、ほとんどが既知の事実でした。新鮮だったのはミシガン州で職にあぶれた青年が海兵隊にリクルートされるところと、ムーアが議員に突撃取材をする箇所くらいです。ですからはっきり言って退屈な映画でした。
 
 
 
  木村:ともあれブッシュが勝ったわけですが、とりわけ世界的に眺めますと宗教的対立による紛争が顕著ですし、僕は、ブッシュ再選によって、ネオコンとキリスト教福音主義者の影響がいま以上に色濃く出るように思うのですが、堀田さんはどのように観察していますか?  
 
 
堀田:この点がブッシュ政権2期目をみるうえでのカギになると思います。キリスト教福音主義がブッシュの思想的背景にあることは今後も間違いなく、その支持母体となる南部や中西部、というよりニューヨークやシカゴ、ロサンゼルスといった大都市周辺以外の米国地域のひとたちがブッシュを推す構図は変わらないでしょう。

ブッシュのスピーチには教会の牧師が使う単語や表現がたくみに配置されていて、みごとにクリスチャンの心をつかんでいますし。問題はネオコンの世界観が今後も政権内部を支配するのかどうかです。そのサインが重要ポストの人事にあらわれます。ライスが国務長官になり、その下の副長官に誰がなるかが焦点でした。ネオコンの急先鋒と言われるボルトン次官がなるのかと思われましたが、彼は退官し、現実派の通 商代表部のゼーリックがアーミテージの後任になりました。が、いまでもチェイニー、ウォルフォウィッツは健在ですし、ラムズフェルドも残留して、ブッシュ政権の世界観が第1期とガラリと変わるとは思っていません。

その証拠に、ブッシュは就任演説で、究極的な自由を獲得するためには武器を持ってでも戦うという主旨の発言をしています。これは、ずっと言われてきた米国単独主義が今後もつづく可能性があるということを示唆するものです。

もうひとつ、米国の国連大使人事が重要です。昨年、大使のダンフォースが辞任を発表しましたが、2月1日現在、後任は決まっていません。もしブッシュが穏健派の人物を指名したとしたら、それは国連にほとんど何も望んでいないということの表れですから、国連安保理の決議などには目もくれずに独自の外交政策を取りつづける可能性が高いかと思います。
 
 
 
  木村:ありがとうございました。  
 





『大統領のつくりかた』
著・堀田佳男

価格:1,200円+税
発行日:2004年9月
ISBN:4-86113-043-3
本のサイズ:四六版 256p 上製(ハードカバー)
発行:プレスプラン 発売:サンクチュアリ出版

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●内容
本書は、ワシントン在住20年のジャーナリストである堀田佳男氏が、過去4回のアメリカ大統領選挙を多角面 から取材。歴代大統領から泡沫候補までをつぶさに検証して書き下ろした。徹底した現場取材主義を貫き一次情報を重んじる堀田氏ならではの、独自の分析力の光る一冊。

 

 


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