福島第1原発事故や放射能による食品汚染の問題などを幅広く扱った「原発・放射能クライシス」(リーダーズノート、1800円)が発行された。十勝出身のジャーナリスト2人も執筆に参加している。
原発や放射能関連の記事を執筆した椎名さん(左)と松田さん
さまざまな専門家を取材し、総合的に現在や今後起こり得る危機を検証しようと出版。発行人の木村浩一郎さんは「原発事故は全国民的な責任がある。みんなに考えてもらいたい」と話している。
新得町出身の椎名玲さん(50)は、5月に全面停止した静岡県の浜岡原発と放射能食品汚染を担当。2003年から浜岡原発を取材し、当時から地盤のもろさを指摘したが、「原子力問題に手を出すとつぶされる」と、ある雑誌の編集長から圧力がかかったこともあったという。
食品汚染では内部被ばくの恐ろしさなどを説明。みそや玄米などの伝統食が放射能から身を守る効果があるとし、食品を選ぶ重要性を呼び掛けている。椎名さんは「チェルノブイリ事故では食品からの内部被ばくが多かったので、日本でも詳細に調べてほしい。どの情報を信じるか、自分で選択することが生き抜くすべだと思う」と語る。
帯広市出身の松田恭子さん(39)は、原子炉使用済み核燃料の再処理・再利用から最終処分までの流れを指す「バックエンド」を取材。原子力推進の専門家間でも考え方に違いがあることを知り、原子炉廃炉と使用済み燃料を地下数百メートルに埋設する地層処分技術が、日本の名誉挽回の布石になるか注目している。松田さんは「福島第1原発の周辺住民の避難場所として十勝も注目される。十勝の人は福島の現状をもっと知り、議論してほしい」と話している。(池谷智仁)