
大胆な色づかいで描く動物などのペンキ画で評価の高い画家AKI(本名・木下明幸)さん(24)=世田谷区豪 徳寺=が18日から、中央区銀座3のギャラリー「ノア」で個展を開く。東日本大震災後に「生」を強く意識した新作など約30点を展示予定。「何かを感じ とってもらえれば」とAKIさんは願う。 (鈴木学)
幼少時からほとんど言葉を話さず、小学四年の時に軽度の知的障害と判定されたAKIさんは、障害者学級に編入してから好きだった絵に没頭。国内外で受賞を重ね、十五歳ごろからは個展も開催、ミュージシャンらとの共演で即興で絵を描くライブペイントの活動も行っている。
父親の昭さん(51)によると、AKIさんは東日本大震災の余震の恐怖でパニックを起こすなどした。だが、「生きること」への関心が高まり、好き な草食動物とその命を支える植物の共存を意識した絵を描き出したという。新作「共存」も、生命力あふれるヒマワリと、取り巻くシカやキリンなどの優しいま なざしが印象的だ。
また、動物の進化を題材にとり、国立新美術館エイズチャリティー優秀賞を受賞した「トラウマ」など、過去の作品も展示する。「比べると、線や躍動感に成長が見えます。私と同じ立場の人にはぜひみてもらいたい」と昭さんは話す。
個展は二十三日まで。入場無料。二十六日に発売予定の絵本「みつけたのだあれ?」の原画も並べ、絵本の先行発売もする。会期中の問い合わせは、会場直通=電03(3248)2277=へ。
東京新聞

虹のような色鮮やかなキリンの親子が表紙に描かれたこの絵本。作者は、軽度の知的障害があるが自由な感性でさまざまなアートに挑戦しているAKIこと木下明幸さん。
1987年東京生まれ。14歳からデザイナーとしてTシャツのデザインなどを手掛け、多くの有名アーティストやミュージシャンと共演、パフォーマンスを行う。海外でも絵画が展示されるなど、受賞回数は多い。
東日本大震災の後、軽い心的外傷後ストレス障害になり、約50日間、夜間を車の中で過ごしたというAKIさん。その中で描き続けた作品がこの「だあれ?」。自由な色彩の動物の親子たちは、とにかく美しく、楽しい。子どもだけでなく、見る者すべての心に、生き生きとした印象を与えることだろう。
◆鮮やかな色のペンキで描く画家AKIさん
「知的障害の子 可能性知って」
鮮やかな色のペンキで愛らしいキャラクターを描く画家のAKI=本名・木下明幸=さん(24)が、4作目の絵本「だあれ?」をリーダーズノート社から出版した。軽度の知的障害があるAKIさんは、父・昭さん(51)のサポートでひたむきに創作を続ける。29日からは、絵本の原画などを集めた個展を銀座で開く。
「だあれ?」に多く登場するのは、動物の親子が戯れる姿。躍動感のあるウサギやリスが描かれている。AKIさんの絵には下書きがなく、何かを見本にすることもない。何を描くか、何色にするかは「自然に浮かんでくる」と話す。
昭さんによると、AKIさんは7歳までほとんど言葉を話さず、小学4年の時に軽度の知的障害と判定された。子どもの頃から、周囲に自分の考えを伝える手段が絵だったというAKIさん。今までに描いた絵は「何千枚、何万枚かも」と言う。コンクールへも入賞を重ねてきた。
昭さんはずっと「少しでも多くお金を残してあげたい」とがむしゃらに働いてきたという。そんな中で、AKIさんが中学1年の時に転機が訪れた。一人で外出し、買い物をする姿を偶然見かけ、改めて「この子にもこの子の人生があるんだ」と実感した。才能が花開くよう、手助けしていこうと心に決めた。
昭さんはその後、AKIさんの絵の魅力を伝えようと、缶バッジを作って原宿のショップに持ち込み、売り出してもらった。若い女性の心をとらえ、1カ月で6千個が売れる人気ぶりだったという。以来、絵本、展覧会、音楽に合わせて即興で絵を描くライブペイント……と、表現の場は広がっていった。
今回の個展に出展する絵は、すべて東日本大震災後に描いたものだ。世田谷区の自宅で地震にあったAKIさんは、夜になると余震の恐怖でパニックを起こすようになり、家にいられなくなった。地震の後は2カ月近く、夜明けまで公園などで絵を描き続け、昭さんが付き添ったという。
昭さんは「自立への取り組みは色々あるが、百人のうち1人でもAKIの絵をいいと言ってくれたら、私はそれがAKIの自立だと思う。知的障害がある子どもに可能性があることを示したい」と話す。
「AKI新作絵画展」と題した個展は7月3日まで、Gallery(ギャラリー) NOAH(ノア)(中央区銀座3丁目)で開催する。開場は正午~午後8時、最終日は午前11時~午後6時。入場無料。
(松本千聖)